男一匹泣いてたまるか

 

人生にはいろいろな涙があります、同じ涙でも状況によって随分違いますね。

 

私が焼肉屋に行き、一人で食事をしていると、隣に子供連れの若い夫婦が座って

楽しそうに焼肉を食べていました。

 

まだ子供は赤ん坊で、言葉もしゃべれないのですが、よく泣きました。

私は食事中、子供の泣き声を聞くと、食事が美味しく感じられないタイプです。

 

でも、しばらくして泣き止み、私は落ち着いて焼肉のおいしさを味わいました。

 

泣き疲れてすやすや眠る子はとても愛しく感じます。

赤ん坊が泣くのは、親に愛情を求めて何か訴えているのでしょうね。

 

いつも夫婦喧嘩が絶えない家庭で、言うことを聞かない妻への腹いせに、父親から

殴られる理不尽な行為は、子供にとって悔し涙以外の何ものでもないでしょう。

 

こんな子供に愛を感じるこころは育つのでしょうか。

 

高校受験で第一志望の見事合格発表を見た時の涙は、頑張った自分をほめる、

希望と達成感に溢れる涙ですね。

 

この感動こそが、生きる力の源泉なのでしょう。

人生にはいつも目標を持って、それに向かって努力するのがいいのでしょうね。

 

私の若い頃、私を思い慕う彼女の気持ちに気付かず、最後に見せた彼女のお別れの

涙は乙女ごごろの切なさの涙でした。

 

人の気持ちを理解できない私は、人に愛される資格はありませんね。

 

会社で自分勝手に猛威を振るう鬼課長が、家庭でも好き勝手して、奥さんに

愛想をつかれて離婚して悲しく流す涙は、鬼の目にも涙でしょうか。

 

人の気持ちを考えない人は、涙を流しても、同情してもらえないのでしょうね。

 

仲良く家族団らんで暮していたおばあちゃん、思うように身体が動けなくなり

自分のことが自分でできなくなりました。

 

家庭の事情でやむなくひとり、老人ホームに入居するときのおばあちゃんの涙は、

とても寂しく情けない涙でしょうね。

 

生まれた時もひとり、死ぬ時もひとり、これが人生なのでしょう。

 

今私が泣くときは、ひとり寂しく、自分だけのために作る、カレーの

玉ねぎを切る時だけ。

 

涙のしょっぱさで味わうカレーの味は、私の人生に甘いハチミツが必要。

ハチミツを求めてさまようが、結局最後はミツバチに刺されて痛い目に会う。

 

私は泣いても誰にも気にされない孤独な男、男一匹泣いてたまる