愛妻弁当

 

私がブログを書いているのを知っている友人が、彼の奥さんが作る

愛妻弁当のことを書いてくれと言うので、彼に代わって書いてみました。

 

             愛妻弁当

 

私は毎日お弁当を持って仕事に行きます。

 

私の妻は、朝早く起きて、私のためにお弁当を作ってくれるのでいつも

感謝しています。

 

妻は私の健康のことを考えて、栄養に偏りがないように、そしてカロリーにも

気を使って、毎日工夫してお弁当を作ってくれます。

 

最初の頃は、手間暇かけてお弁当を作って、私が仕事から帰ると、いつも

「今日のお弁当美味しかった?」と聞いてきました。

 

私はいつも美味しかったよと答えていました。

愛情のこもったお弁当に、不味いとは口が裂けても言えませんでした。

 

新婚当時はニンジンを♥️の形にくりぬき、その愛情の熱さに、周りの同僚に

見られて恥ずかしい思いをしたこともあります。

 

そのうち何年も経つと妻の作るお弁当も変わってきて、少し手抜き弁当に

なってきました。

 

手抜きと言っても愛情のこもった手作りの温かいお弁当です。

 

妻の作るお弁当はその日の気分で違ってきました。

私が妻を叱ったときは、悔し涙でしょっぱい味付けとなります。

 

給料日前は、おかずが質素になり、もっと給料をたくさんもらってきてねと

私に訴えます。


残業続きで疲れている時は、お弁当のほかに栄養ドリンクを一緒につけてくれます。

こんな時は妻と結婚して本当によかったなと感じました。

 

かわいい妻です、お弁当の中身をみれば、その日の彼女の気持ちが素直に

出ています。

そんな妻ですが、朝起きていつものようにお弁当を作ろうとしたとき、

左手が上がらないと言って私に助けを求めてきました。


病院が開くのを待って、近くの病院に行って診てもらうと脳梗塞だと言われ、

すぐ脳神経外科に連れて行きました。


手当てが早かったので大事には至りませんでしたが、左手に痺れが残り、

以前のようにはうまくお弁当は作れなくなりました。

 

それでも毎日、不自由な左手を使って、時間をかけて作ってくれます。

 

ご飯をうまくお弁当箱に入れることができなくて、お米がお弁当箱の外について

いることもありますが、それでも毎日作ってくれます。

 

私はそれまで妻がお弁当を作ってくれるのは当たり前だと思っていましたが、

その大変さがわかりました。


今ではお弁当を食べる度に、私の涙でしっかり塩味がついて、今までのふたりの

歩んできた道を振り返り、人生の味がします。

 

かあちゃん今までありがとう、今度の誕生日には、左手に似合うきれいな

ブレスレットをプレゼントしてあげるからね。